愛しい精霊と共に、一乗寺は永遠の眠りについてしまった。
飴色の琥珀石。ひとまず縁側続きになっている居間に運び込まれた一乗寺の指先から、コトリと力なく転がり落ちる。誰の目にも、留まらぬままに。

「どうなってるんだ!?」
真田がいきりたった。
思いも寄らぬ急展開が納得いかないらしく、三露の目から見ても苛立ち具合は存分だった。色褪せた畳の上に横たわる一乗寺は答えてくれるはずもない。唇どころか睫毛一本、心臓だって震えやしないのだ。当たる先がないせいで増長した怒りは、仕方がないことだが三露に向けられたのだった。
真田は聞かされていなかったようだが、この六年一乗寺は探し物をしていた。
しれっとした顔に似合わず熱心な捜索っぷりで骨董品業や情報のパイプラインを網目のように繋げていた。そこまで躍起になるくらいだからよほど大切なのだろう―――くだんの琥珀石は。
三露は単なる精霊を込めたままの琥珀石としか聞き及んでいなかったので、精霊使いの彼にとって重要なんだろうとばかり考えていた。
かと思いきや、大切じゃなくて愛しい精霊だったらしい。
松珀、と琥珀石に呼びかける一乗寺。その顔を見た三露自身、この世のものか疑うほど面喰らったのだ。普段は仏頂面でも優しい表情ってできるものなのか、なんて感想が浮かぶ。どれほど松珀を希っていたのか、瞭然。
しかし次の瞬間、一乗寺は倒れた。
寸前の蒼ざめていく表情を見なければわけがわからなかった。不穏な空気がじわじわと滲み出す。どうやら呼べども呼べども愛しい精霊が出て来ず―――だからといって理解に苦しむのだが、一乗寺は思いも寄らぬ荒業に出た。
琥珀石の中に入り込む。なんて奇行っぷりなのだろう。
その経緯が見えない真田は、ただただ驚いたに違いない。先ほどから「どうなっている」という質問ばかり繰り返している。
「どうって…」
三露は思案したが、どこから伝えたらよいものか。
「一乗寺は琥珀の中の精霊…―――松珀って呼んでたね。彼女が愛しかったんだよ」
たぶんね、と一言添えた。
「それは! …それは…なんとなくわかったけど」
「だから彼女逢いたさに石の中へ入った」
開いた口が塞がらない。理解に苦しむのだろう、真田は言いあぐねたあと三露から視線を逸らしながら「そんなこと出来るのか」と呟いた。消え行く声音は明らかに狼狽している。
僕だって聞いたことないし、でも、出来るのかもしれないね。ゆっくり言い聞かせるのだが、不服だろう真田は顔をあげない。
…一乗寺が精霊使いだから。
三露は答えとも独り言ともつかない一言を零した。
一乗寺は精霊使いだ。彼は右手首に数珠繋ぎにしていくつか石を巻いていた。いったん精霊の力を石に宿し、発揮させているが、まさか石に封じ込めるその力が人魂でも可能だったとは。一乗寺は自ら望んで石の中へ入り、すると身体はもぬけの殻となった。
ふいに真田は頭を持ち上げ、動揺にゆれるブルーアイを三露に向けた。
「そんなんじゃわからない」
先ほど以上に必死に絞りだしたうめき声。
「だって…だから、それは…石に入るってことがどういうことなのか…! 出てくるんだろ? はっきり言ってくれなきゃわかんないだろ!」
「…魂が身体から抜け出たってことだよ」
縋りたい気持ちでいっぱいなのかもしれない。
「どうやったら戻ってくる!?」
それは。
三露の上半身に、不意に陰が降りた。
「"どういうことか"だって?」
「武政」
細身の体を折って二人を覗き込んできた男。色素の抜けた茶髪を掻きあげたあとなのか、武政にしてはどこか無造作なヘアスタイル。そして、白い顔。下から見上げるかたちとなった三露は、その翳りを帯びた顔面に憔悴めいたものまで感じた。
先ほど庭木の傍で立ち尽くしていてはずなのに、いつの間に。いくら言っても一乗寺を運び入れる手伝いもしないで生返事を返していたくせに、足音を忍ばせ横槍を入れにきたのか。真田のわめき声が癪に障ったらしく、その眇められた半眼は厳しい眼光を放っていた。じゃあ言ってやろう。武政が、薄く笑う。
「死んでるんだよ」
息を呑み込む音が聴こえた。
「―――――…」
こう宣告されると、三露といえど嫌な汗が額にじわじわと滲む。
武政は人の悪い笑みを顔に貼りつけ、少し色の悪く見える赤紫の唇を震わせた。
「脈も呼吸もない、離魂した。死んでるんだ」
空気まで、わななく。

とりあえず寝室に運んだらどうだ、武政の提案は誰もが賛成だった。
しかし皆一様に反応が遅れてしまう。誰も彼も。顎で寝室をしゃくられて、見ればミサが開け放った襖に半身を隠しながら立って肩をびくつかせた。彼女もまた心配したまま気が抜けた気分だったのだろう。
一乗寺の使う和寝室は居間から襖で遮られているだけ。こぢんまりとした和の休息空間。中央には白い敷布団、掛け布団は親切に避け畳まれていた。庭では難だからと一乗寺を運び入れることにしたのだが、そのとき非力なミサは先駆けて寝室に走った。布団敷きを彼女に任せ、三露はひとまず、真田と二人で一回りも年上の男を居間に転がしたのだった。
「…そうだね。運ぼうか」
真田、と声をかけると、返答はない。ただ真田は顔もあげないままに倒れた一乗寺に腕を伸ばしていた。その手が、指先が一乗寺にの身体をかすめると、真田はまるで熱鉄に触ってしまったように腕を引っこめた。
一乗寺が死んだなんて、そんな。
真田の葛藤を、三露は見て見ぬふりをして一乗寺の上半身へと手を伸ばした。

どうせ手伝うつもりもない。
武政は静かに抜け殻となった幼馴染が運ばれるのをじっと眺めていた。しかし足元にキラリと光るモノに気づくと、腰を折って拾いあげる。飴色の琥珀石。丸く、軽く、まるで重みを感じない石。
そっと手のひらにつつみこんだ―――友人の、なれの果てを。


* * * *


少し時間いい、三露? ミサがこっそり声をかけて来たのは、それから数時間は経った頃。一乗寺が倒れたのが昼前、気がつけば午後のお茶の頃合だった。陽がさんさんと一乗寺家の庭を照らし、その分一層部屋の中に蔭が降りていた。
ミサはもう帰ると言う。結局何の用事だったのかと問うと、去り際に儚い笑顔を零した。
「ジョージがちゃんと部屋を汚してないか、どうかとかね」
自分で片づけておいて難だけど整然としててさみしい。そんな旨を呟いた。周囲を憚った声は消えそうに小さい。真田は居間で膝を抱えて俯いていて、武政も庭に佇んで背を向けていた。彼女も滅入っているだろうに、顧る者はいなかった。
それと、三露?
やはり忍ばせた声だったが、一転して毅然とした何かを孕んだ口調。
「手紙が来てたわ」
「?」
「ジョージの郵便受けにだけれど、あなたも見るといいと思う」
主人がいなくなったとたん忽然と冷たい空気を帯びはじめた一乗寺家を、そう言ってミサは去った。
ミサは郵便受けにあった雑多なものを玄関へと運んでくれていた。しかしわざわざ目につきにくいよう朝刊や夕刊の下へ置かれた、一通の手紙。見ておけと忠告しておいてこれとは…人目を憚りたかったのか。ミサの意図を思案しながら三露は手紙を手にとった。
白い封筒には『一乗寺 久幸様』の宛名。流れるような筆跡が上質な封筒に走る。三露は首を傾げたが手紙はそれ一通きり。間違えようもない。送り主を確認すべく、くるりと手首を返して手紙を反転させた。流麗な字は尚も走る。―――"伊織 蓮"。
胸騒ぎに、三露はすぐさま封を切る。黒い瞳がじわじわと見開かれていく。

それももう小一時間前のことだ、と三露は封筒と同じ白い上質紙の便箋を握りながら、そんな経緯を思い出していた。ミサが帰ってからなおも時間が経過すると、縁側の向こうには夕焼けが広がりはじめ、五月にしてはわずかながらに暑い夜風が部屋を駆け抜ける。
三露が顔をあげる。薄暗くなった居間には、隅に真田、部屋と縁側を通り越して庭に武政が佇んでいた。三露はといえば手元に書類を広げ、目を通していたところだ。他に何かやっていないと間が持たなかった、というか。一乗寺のことよりミサの持ちかけた話題に気を取られた、というか。
真田や武政に至っては他に気をそらすこともできないようで、この長すぎる時間、部屋隅の真田がしたことといえば膝を抱えるくらい。庭に佇む武政がしたことといえば、例の琥珀石を掌中で転がしているくらい。
長く、ゆっくりと、重たい空気が流れていく。
―――このままじゃ、誰も何も動き出さなそうだ。
かといって、三露自身腰を上げる気にすらならなかった。畳に縫いつけられたように立ち上がることさえ億劫だ。時計の秒針が耳にまとわりつくように聴こえるのを鬱陶しく思いながら、細く長いため息を虚空に溶け込ませた。
すると、部屋が一層静かになっていただけに音が響き、真田が顔をあげた。
「…三露。それ、何だ?」
手元の書類、そして真田。三露は双方を交互に見比べたあと、「別に?」と答えた。
三露の手の中にはくだんの封書と書類があった。手紙はまずい。一乗寺に宛てられていたにも関わらず三露はびりびりと封を切ってしまったので、今の真田には起爆剤になりかねない。
残る書類は、と三露は紙面を思い起こす。顔写真の横に氏名、そして経歴。一人の人間を物語る書類は能力、配属地区を記載した総帥の持つ資料だった。
「これは駄目」
気にかかる様子の真田を制止して、三露はそっと脇に避けた。
手紙の送り主、"伊織 蓮"の個人データ。彼は隣の地区、東果の術者だった。進学高校に通う三年生で、妹の"伊織 京"と二人にその地区は任せている。京の方は三露と真田と同じ十六歳で、ついこの間高校二年生に進級したばかり。
二人とも濃茶色の髪。つぶらな目。おそらく数年前に撮ったであろう書類の写真は、あどけない顔つきで微笑ましかった。どこか緊張に困っている表情。
届いた手紙はというと「果京の方々にご助力お願いしたい」という書き出しから始まった。一乗寺宛てとは言え、単に手紙にしたためなくてはならなかった送付先に彼を使っただけらしく、封を切れば「果京の術者様方へ」としたためられていた。一通り目を通し、三露は険しい表情のまま使い魔の影に言いつけ、東果の術者の書類を取ってこさせたのだった。まず東果地区を把握しないことには始まらない。
「…アンタはいつもそうやって隠すんだ」
批難の声が唐突に三露を突き、ぎょっとして顔をあげる。真田は恨みがましそうな目をして不貞腐れた様子だった。生憎、そんな文句に心当たりがない三露はまじまじと見返すしかできなかった。
不躾な眼差しで穴が開くほど見つめると、真田は居心地悪そうに身を縮めた。また膝を抱えてしまう。
もしかして、いつもって、総帥だって言わなかったこととか? …三露にしてみれば思い当たる節はその程度で、それこそ濡れ衣と思わないでもない。なにせ三露は三露であって、総帥だなんて自己紹介する気がないわけで。
「これは違うよ」
「…何がだよ」
「これはプライバシーに関わる個人データだから、見せられないんだ。隠してるわけじゃない」
個人データ? 何でそんなものを、と真田が言い終わらないうちに、何かに似たタイミングで三露の半身に蔭が降りた。いつかの二重写しを見ているような感覚を覚える。
「ふぅん」
武政がニヤリと笑いを零す。
「武政…忍び寄るのはやめてくれないか」
男はさきほどまで庭木の横で立ち尽くしていた武政だった。琥珀石を軽く宙に放っては握り、掌中で転がしては、繰り返す。そうやってもてあそんでいた石を左手に握ったまま、差し足で近寄ったのだろう。何食わぬ顔で三露が手放した手紙を拾い出し、さっと目を走らせていた。
これでは真田の目についてしまう、しまった、と三露が眉を顰める。声に出されて朗読された日には…。しかしそう思う頃には、武政は早くも手紙を読み終え丁寧に畳み始めていた。
声に出して読みあげられなれなかった。助かった、と三露はそっと胸を撫でおろした。だが水を差すように、
「東果、ね」
武政はあっさりとそんな言葉を吐く。三露は内心舌打ちしたくなった。これ以上何を喋られるか気が気ではない。
「ここの術者なら二人とも知ってる。伊織兄妹だろう」
そういった武政は、人の悪い笑顔をつくった。
「お膳立てしてやろうか」
「………」
きみが? どうにも胡散臭かった。


* * * *


果京に続く都市開発中の東果地区。南には線路も走り、広く整地された道路には適度な街並みを誇る。しかし北へ向かうほど、まだまだ田園田畑が一望でき、陰樹林が広がっていた。
その東果地区の若干街寄りに、巷では出来のよい進学高校があった。東果の術者、伊織兄妹の通う高校だった。

白い幅広プリーツの制服スカートに埃がついたが、京は眉を顰めることしかできない。
「ああもうっ!」
こんなことしてる場合じゃないのに! 両手いっぱいに抱えた古い書籍に嫌気が差し、京は怒りとも嘆きともつかない苦渋を零した。これを図書室に運んでおいてね、なんて委員会顧問の教員に呼び止められ、わずか十分の休み時間を捨てることになった。山積みの本を持って廊下を駆ける。
日がだいぶ長くなったせいか窓から射し込む陽が強くなり、廊下は一面白い世界だった。珍しいほど光の調和が美しかったが、見慣れた廊下とあっては感慨も覚えない。何より多忙に頭がパンクしそうな京は一瞥だってくれてやる余地はなかった。
不毛なことに、今とても忙しい。

例えば奇跡であったり運命であったりする。占いであったりまじないであったり、術であったりする。まるで魔法のような怪奇。説明のつかない能力。それらを総括する組織に、京は所属していた。
能力のことも、東果の術者として配属されていることも周囲には秘密。知っているのは同業者である兄の蓮ただ一人だ。今東果地区を任せられているのは二人きりである。
目下その京が頭を抱えたくなる事態は、図書委員の雑用でも、進学校の学業でもない。「コックリさん」なる、他愛もない遊びだった。
十円玉と紙さえあれば出来るお手ごろな「コックリさん」遊びは、動物霊を呼びだすという。無闇にやってはいけない、憑かれてしまうから―――冗談めいて広まった遊び。子供騙しだ。本当に霊など呼ばれてはたまったものではない。しかし京にも信じ難いことに、本当に校内の生徒がその霊に憑かれはじめてしまったのである。
いちいち退治して回った京だが、それより早く生徒たちが遊びを広めてしまった。今や校内に巣食ってしまったと言えるほどに、「コックリさん」だらけだ。
みんな見えないからっていい気になって!
心の中で嘆きながら、ぶつけようもない憤懣が溜まる。新学期が始まったばかりの四月頃から広まり、もう二ヶ月も跋扈するコックリ退治に追われていた。
京の能力はさほど強くない。体力を削り、精神力を削り、日々駆けずり回る。どれだけ苦労していることか! 残念ながらもう一人の東果の術者、兄の蓮は退治に向かない能力のため、もっぱら京がその身を粉にして働いているのだった。
「まったく…お兄ちゃんも役に立たないし…コックリさんちっとも潮時こないし…!」
京は肩を落としながら、図書室へと向かっていた。
兄は能力はやたら感応することだった。気配に敏感だったし、コックリさんが呼び出されればすぐに気づいて舌打ちする。言うなればレーダーだ。いくら頭脳明晰、自慢の兄でも、彼もまた頭を痛めていようと、疲れ果てた京は文句の一つくらい言いたくなる。仕方のないことだけれど、結局兄は「コックリさん」を退治できないのだ。
さすがに長期戦になってしまい、蓮なりに打開策を練っていた。先週、いや先々週のことだが、果京に助力を願う手紙を一通したためていたのだ。達筆な字をすらすらと書きあげていく姿を、京はじっと見つめていた。しかし期待とは裏腹に、心の奥底は「どうせ無理だな」と諦めの境地だった。果京には果京の事情がある。普段やりとりもない術師のためにわざわざ足を運んでくれることか、どうか。
そういえば、と、京は不意に今朝方兄に声をかけられたことを思い出した。
―――京、丁度よかった。
黒縁眼鏡の奥で、焦りを帯びた目が一瞬安堵に緩まる。一限が終わってすぐに出くわした蓮は、緊張に頬元を強張らせていた。眉間に皺を刻み、耳元に打診してきた内容。
「何か嫌な気配が今朝から近づいてきてる」
「え?」
唐突すぎて濃茶色の目を瞬かせる京に、蓮はさっさと、
「注意しろよ」
とだけ言い残し、去ってしまった。
蓮の感応能力には信用を置いているが、あまりの急な内容に京はちっとも実感がわかない。一体何に注意すればいいというのか。こちとら、常々コックリ退治のために気を張り詰めているのだ。今さら、これ以上どう気を張れ、と?
耳慣れた本鈴が、京の意識を掠めていく。気がつくと休憩時間は過ぎて授業開始の合図が鳴り響いていた。大慌てで、いつのまにか緩めてしまっていた歩調を速めた。図書室は最上階にあり、まだ階段という難関が控えてるのに。京はぐっと息を飲み込んで、痺れ始めている手のことをできるだけ考えないように一歩を踏み出した。
階段に足をかけたそのとき、京の前に立ちはだかる蔭があった。
「Mist! 待てよ!」
「ふぅん…いっぱい机があるんだね…」
大仰そうな感心の声音が耳に入り、顔を上げると、京の行く手には二人の男子生徒がいた。踊り場でくるりと反転させた身体は、こちらへと降りてこようとしている。
京は不思議な感覚を覚えた。聴きなれない声。一学年十学級もあり他学年まで把握しているわけでもないが、どうしたことか違和感を覚えて踊り場を不躾に眺めた。見慣れない二人の人影。二人はまだ京を視界に入れていない。
さほど大柄でない男子生徒だった。二人とも、いつも兄が袖を通すものと同じ白いワイシャツに、紺地のブレザー。一人はワイシャツを第二ボタンまで外して着崩していたが、後ろから追いかける男子は生活指導の教員も文句を言わないであろうほど正しい着こなしだ。
階段の途中にある窓からの射光が、二人の黒髪を照らす。奇妙なほど、真っ黒な髪。
「―――え?」
京は息を呑む。どうして、と言われても困るが、妙な考えが胸をじわじわと支配していく。京の漏らした息にも似た声を聞きつけ、彼らは京を見つめ返した。
そんなこと、とんでもない。
馬鹿げたことを、きっと言う。
「…総、帥?」
教室からガタガタと椅子が床を叩く音が響く。掻き消されておかしくない呟きだったのに、確かに目の前の男子は顔に驚きを滲ませた。




           

 





Copyright(c)2004-2005 Saki & Shii All Rights Reserved.

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送